債券投資でも分散投資をすべきか?

債券は安全度が高い金融商品ですが、投資でもありますので、確実な元本保証の商品ではありません。

株式ほどハイリスクではありませんが、債券にもいくつかのリスクがあり、リスクを軽減させる方法として分散投資という方法があります。

この記事では、株式投資と同じように債券投資においても、分散投資をすべきかどうかについて解説していきます。

そもそも分散投資とは?

資産運用の格言のひとつに、「卵を一つのカゴに盛るな」というものがあります。

卵を一つのカゴに盛るな

すべての卵を1つのかごに盛っていた場合、かごを落とせばすべての卵が割れてしまいます。

しかし、複数のかごに盛っておけば、1つのかごを落としてもすべての卵が割れてしまうことはありません。

つまり、投資対象を複数に分散することで、仮に1つの商品が値下がりしても他の商品でカバーでき、全体のリスクを軽減できます。

これが、分散投資によるリスク軽減効果です。

債券のリスク

債券投資の魅力は、株など他の金融商品に比べて安全性が高いことです。利子を定期的に受け取りながら、償還日には額面金額が返還されます。しかし、安定した収益が魅力の債券ですが、預金のように元本が保証されているわけではありません。

債券のリスクについてもきちんと理解しておく必要があります。債券投資の主な3つのリスクについて確認しておきましょう。

価格変動リスク

債券を満期まで保有すれば額面で償還されますが、途中で売却するときは価格変動リスクがあります。その時の時価で取引することになるので、損失になることもあるのです。債券の価格は、債券自体の需給関係もありますが、金利や株価などの外部要因でも変化します。

価格変動リスクについては、以下の記事を参考にしてください。

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信用リスク

債券には、債券の発行体である国や企業などが倒産、もしくは財政難や経営不振に陥った時、決められたとおりの利子や償還を受けられなくなる「信用(債務不履行)リスク」があります。

発行体の信用度は、格付けによってある程度判断することが可能です。

格付けに関しての詳細は、以下の記事を参考にしてください。

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為替変動リスク

債券には円建てで発行されるものだけでなく、ドルなどの外貨建てで発行される債券もあります。外貨建債券の場合、その通貨では満額償還されても、為替変動(円高)により円では元本を割ってしまう場合があるのです。

債券の分散投資

このような債券のリスクを軽減させる手段として分散投資は有効です。まずは、地域の分散から見ていきましょう。

地域の分散

 

分散投資として「地域の分散」があります。たとえば、国内と海外、新興国と先進国、欧州とアジアなど異なる地域に分散投資することです。国内の債券投資は超低金利が続いているので、ほとんど金利がつきません。

そこで、外国の債券投資を検討している人もいると思いますが、複数の債券に分散投資することで、リスクを軽減させることが可能です。各国の10年国債利回りを確認してみましょう(2019年10月31日時点)。

  • 日本    -0.151%
  • 米国    1.688%
  • イギリス  0.629%
  • メキシコ  6.754%
  • トルコ   12.345%
  • 南アフリカ 9.160%

とくに、メキシコやトルコなどの新興国は高い金利が得られますが、為替変動リスクや信用リスクがあります。過去にはアルゼンチンやロシアの国債がデフォルト(債務不履行)を起こしました。

リスクを軽減させるためにも、複数の地域に分散投資するようにしましょう。

商品の分散

債券にだけ投資するよりもリターンを得たい場合、株式投資も組み合わせるといいでしょう。債券と株式は一般的に異なる値動きをするので、お互いのマイナスをカバーしあうので分散投資の効果もあります。また預貯金を組み合わせれば、さらにリスクを軽減することが可能です。

このように、複数の金融商品を組み合わせることを「商品の分散」といいます。商品の分散が分散投資でもっとも一般的です。分散の対象となる金融商品は以下の通りです。

  • 預貯金
  • 国内債券
  • 外国債券
  • 国内株式
  • 外国株式
  • 不動産
  • 商品(金・原油など)

預貯金以外は債券よりもリスクが高くなりますが、その分、大きなリターンを目指すことができます。債券投資をメインとしながらも、リスクを抑えてリターンを目指したい場合は、複数の金融商品に分散投資すると有効です。

時間の分散

分散投資には、時間の分散もあります。投資する際に一度にすべてを購入するのではなく、複数回にわけて購入することです。時間分散で有効な手段は「ドルコスト平均法」。毎月など決まったタイミングで同じ金額で買い付ける投資手法です。

しかし、債券投資は金額を同じにすることが難しいです。また10万円以上などまとまった金額が必要になる債券も多くなります。

そこで、ドルコスト平均法を行う場合は、債券を組み入れた投資信託がおすすめです。

まとめ

分散投資は、投資リスクを軽減させる方法として有効です。債券は安全度が高い金融商品ですが、元本が保証された金融商品ではありません。以下のようなリスクがあります。

  • 価格変動リスク
  • 信用リスク
  • 為替変動リスク

分散投資では商品の分散が一般的ですが、株式や不動産などを組み合わせるとリスクが上がります。ただ、リターンも上がるので、自分の投資目的に合わせた金融商品を選ぶようにしましょう。

また、外国の債券に投資する場合、地域の分散は有効です。とくに、新興国債券に投資する場合は信用リスクがあるので、複数の債券を組み合わせてリスクを軽減させましょう。

 

 

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