債券価格とは?上下する原因や株価との関係について

債券は満期まで保有すれば額面金額で返ってきますが、途中で売却する場合は債券価格が変動します。今回は、債券価格に影響を与える要因について解説します。

債券価格とは

債券価格とは、流通市場で取引される債券価格のことです。通常、債券は額面金額100円で発行されます。額面金額とは債券の申し込み単位のことです。

債券は、満期まで保有すれば額面金額100円で返ってきます。しかし、途中で売却したい場合は、債券の価格は変動します。債券価格が105円と額面金額を上回ることもありますし、98円と下回ることもあります。

額面100円より債券価格が上回ることを「オーバーパー」といい、下回ることを「アンダーパー」といいます。額面で購入した債券をオーバーパーで売却できれば利益になりますが、アンダーパーで売却すると損失になります。

金利と債券価格

  • 金利上昇 債券価格下落
  • 金利下落 債券価格上昇

債券価格は金利の影響を受けます。「金利が下落すると債券価格は上がり、金利が上昇すると債券価格は下がる」のです。

債券と金利のメカニズムを見ていきましょう。

仮に利回りが2%という債券が発行されたとします。その後、市場で取引されている金利が3%になったとします。すると、債券の購入者は2%という金利にうまみを感じなくなり、売却しようとする人が増えます。売る人が増えるので、債券価格は下落します。

一方、同じ2%の債券が発行された後に市場の金利が1%になると、利回りに魅力を感じて2%の債券を買おうという人が増え、債券価格が上昇するのです。

マイナス金利でも買う人がいる理由

現在、長期金利の指標となる新発10年国債の利回りはマイナス0.060%で推移しています。マイナスの金利でも活発に取引されていますが、それは債券価格上昇による売却益が狙えるからです。

債券は基本的に満期保有が前提ですが、ヘッジファンドなど短期で利益を追求する投資家は、債券の売買での利益を狙っているのです。

景気と債券価格

  • 景気回復 債券価格下落
  • 景気悪化 債券価格上昇

景気が良くなると、金利は上昇します。景気が良くなると、人々の収入が増加し、消費や投資を活発化させます。一方企業は多くのサービスやモノを提供できるよう、積極的に設備投資します。

設備投資によって資金需要が高まり、金利は上昇するのです。金利が上昇するので、債券価格は下落します。つまり、「景気がよくなると、債券価格は下落」するのです。

逆に景気が悪くなると、企業の設備投資意欲が減退し、個人消費も低調になります。その結果、銀行から企業への貸出は減少し、預貯金が増えます。金融機関は貸出金利を下げて貸出の拡大を図るとともに、預金の金利を下げようとします。

つまり、「景気が悪くなると金利は下がる」のです。その結果、債券価格は上昇します。

債券価格と株価・為替の関係とは?

株価と債券価格

  • 株価上昇 債券価格下落
  • 株価下落 債券価格上昇

債券価格と株価は、基本的に逆の動きをします。つまり、株価が上昇すると債券が売られて債券価格は下がります。一方株価が下落すると、債券が買われて債券価格は上がるというパターンがよく見られるのです。

一般的に、株は「リスク資産」、債券は「安全資産」と考えられています。経済状況がいい時はリスク資産である株式が買われ、経済状況が悪くなると安全資産である債券が買われる傾向にあるのです。

物価と債券価格

  • 物価上昇 債券価格下落
  • 物価下落 債券価格上昇

物価が上昇するということは、モノの価値が上がりお金の価値が下がっている状態です。人々はお金を持つよりもモノを持つ方に価値を見出し、購買意欲が高まります。モノが売れるので企業の資金需要が高まる一方で、貯蓄などの資金の供給は減るので金利は上昇します。

金利が上昇するので債券価格は下落します。つまり、物価が上昇すると債券価格は下落する」のです。

一方、人々が購買行動を控え、モノの値段が下がると金利は下がります。つまり、債券価格は上昇します。

為替と債券価格

  • 円安 債券価格下落
  • 円高 債券価格上昇

為替相場の変動も金利や債券価格に影響を与えます。たとえば、ドル高円安が予想される場合、ドルで預金したり資産運用したりする人が増加。円建ての預金の解約や金融商品の売却が増えれば、円の資金需要は減少するので円の金利は上昇すると考えられます。金利が上昇する結果、債券価格は下落します。

格付けが変わると債券価格が上下する

債券価格は、格付け会社が独自で決定する格付け(レーティング)に大きく影響を受ける場合があります。

格付けとは?

「格付け」とは、アメリカの大手格付け会社を中心に、独自の財務分析によって、その会社がどれくらい健全であって、倒産するリスクがあるのかを数値化したものです。

初めて聞いたという方は関連記事をご覧ください。

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格付けと債券価格

格付けとは、格付機関が元本と利息の支払いの確実性を評価し、ランク付けしたものです。米国のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)、ムーディーズや、日本のR&I(格付投資情報センター)や日本格付研究所などがあります。

格付機関によって異なりますが、A格が最上位で最も信用度が高く、B・C・Dとなるほどに信用度が下がります。

格付けは債券価格にも影響を与えます。たとえば、信用度の高いA格からB格に格下げになった場合、信用不安から債券を売却しようとする人が増え、その結果、債券価格は下落します。

まとめ

今回は債券価格に影響を与える要因について解説しました。基本的に満期まで保有すれば額面金額で返ってきますが、途中で売却する場合は、以下の要因によって債券価格は変動します。

もちろん、債券自体の需給関係もあるので、必ずしもこれらの関係だけで動くわけではありませんが、債券価格に影響を与える要因について、きちんと理解しておくようにしましょう。

 

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